The way he looks vol.36
こんにちは、塩沼亮潤です。
履歴書というものを、皆さんも、どこかに提出するために、学校や会社の経歴など、いろいろ書かれたことがあるかと思います。
ですが、“履歴書に載らない履歴書”というのが一番重要なのではないかと、最近は考えるようになりました。
私の場合は「大峯千日回峰行」という修行に出会って、それに憧れてご縁に従って行をしてきただけですが、ただその修行をした人があまりいないというだけで、「塩沼亮潤は、千日回峰行、四無行、八千枚大護摩供という修行を達成した人だ」という認識を皆さんされると思います。
ですがもうひとつ、お坊さんにとって大事な修行というのは、毎日言われたこと、与えられた仕事を精一杯させていただくことであり、これは当たり前のことです。それを精一杯やりながら、プラスアルファ、未熟な人間同士の間で生まれるいろいろなストレスや人間関係が修行中にもついてまわります。
私たち人間は「自分自身が一番大切な存在」だと思っているものです。お師匠さんからは、「自分が一番大切だと思うのならば、まず目の前の相手を尊重しなさい」という基本的なことを教わりますが、なかなか実践はできません。
そんな未熟者たちが同じ修行道場で暮らしますので、一生懸命に修行してひとりだけ褒められたり、注目されたりしていると、妬まれたり、人に陰口を言われたりします。そうすると、どうしてもイライラ、ムカムカする気持ちが生まれてきます。
冒頭でお話しした“履歴書に載らない履歴書”というのは、そんな状況にあっても、絶対に相手を憎まない、恨まないで、イライラする気持ちをおさめていくか。そんな心の動きや積み重ねのことなのです。
一番大事な心の芯の部分は、若い頃や小僧の時代に育てなければなりません。どんなことがあっても、絶対に人のせいにしない、人を恨まないという心の下積みをしていくと、目に見える修行と内面とがようやくリンクしていきます。
自分の感情や行動をコントロールできるのは、自分の強い意志しかありません。もちろん、ついいろんなことにイライラしたりすることもありますが、失敗と成功を繰り返しながら、見栄を張らずに等身大で生きていくのが良いと思います。
そうして長い時間をかけて、自分自身の心の履歴書をつくっていきましょう。
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